放置人工林を、森として蘇らせたい

スギやヒノキの人工林は、下草刈りや間伐や枝打ちなどの手入れが必要です。
野菜などの畑と同じように。

現在その多くが放置され、動植物が育たない土砂災害の危険性が高い、暗く寂しい場所になっています。
そんな放置人工林が全国各地にたくさんあります。

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その暗い人工林を、生物多様性に富んだ明るい森に蘇らせたい!という活動があります。

まず人工林全体にご挨拶をしてから入り、将来の森のことを考え、観察と計測と計算をしながら、どのくらいの木を間伐するのか?また、どの木を残すか?を決めていきます。
ある方法で、みんなで木の皮をむきます。女性も子どもたちも一緒になって、みんなで。

それだけで、しばらくすると葉っぱが落ちて、暗かった森に空が戻り光が射し込みます。
日本の森は、光さえ入れてあげればあとは微生物や神さま達が種まきをしてくれる、ポテンシャルの高い魔法の森なのです。

1年半後、わずかにシダ類が点在するだけだった暗い茶色の大地が、一面の緑に萌えあがります。

皮むき後の植生の変化は、ある静岡県の人工林では、1年目23種、2年目53種、3年目76種・・・と順調に増えていきまました。
4年後には、スカスカだった土地にもう一つの森が出来て立体化が始まります。
スギ・ヒノキの下に、広葉樹を中心とした多様性・立体化された森が育つのです。
『森の蘇り』です。

この広葉樹というのは、切ってもその株元から新しい枝が生えてくるのです。(彦生え)
なので上手くローテーションして使っていけば、半永久的に木材資源として使わせていただくこともできます。

食べ物もいっぱいです。
とても甘いオオバライチゴ、やや酸味のあるジューシーなモミジイチゴ。
フユイチゴは、クリスマスシーズンに摘み放題。
春は、ぜんまいやウドやクロモジなど・・・。

虫たちも鳥たちも、鹿も熊も、そして人間も本当の意味での豊かさを取り戻すことに近づくことが出来ます。

今、日本中で眠っている人工林が、このような食料の宝庫になってくれれば、日本の食糧自給率が変わっていくでしょう。
そして森が豊かになれば、動物たちも人が住む場所に降りる必要など無くなります。

そういう世界が展開されていきます。

光が入るだけで、森に魔法がかけられます。土も変わっていきます。
暗い人工林の土にはシャベルが何の抵抗もなく、すっぽり入っていきます。
でも、皮むき間伐をして4年後の森の地面には、なかなかシャベルが入っていかないです。
根っこを切らないと掘れないというふうに、どんどん変わっていきます。

その根っこの先には、土が小さなお団子のような固まりになっていて、それがスポンジの役割を果たしてくれるのです。

大雨が降っても、雨水は広葉樹の落ち葉を分散しながら地面に染み込み、そのスポンジでいったん受け止められてから、ゆっくりゆっくりと地中に浸透していくようになります。

急な河川の増水も、土砂災害も、減らしていくことが叶うでしょう。