六甲山の木材の流通を知るツアー参加

【兵庫県 六甲山】

森林率67%の兵庫。
人工林…いっぱい。

そのうち、裏六甲の人工林の木材の使用を促進する事業をすすめられている方々による、“六甲山の木材の流通を知るツアー”に参加して来ました。

人工林散策~伐採見学~酒造メーカー見学~木材の製材所の見学

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林業の町ではありませんが、六甲山にも人工林がたくさんあります。
表六甲は国有林や大企業保有が比較的多く、裏六甲は民有が多いそうです。

第二次世界大戦の終盤、燃料不足を補うことを主な目的として、六甲山の木々は伐り出されて、ハゲ山に。
零戦の一部は、マツヤニから抽出した油で出撃していたこともあったとか。
 

戦後そのハゲ山に、スギとヒノキが植えられました。
~復興造林

さらにその約20年後、補助金も出された為に、自然のままの森をハゲ山にしてまで、スギやヒノキを植える地権者が増えました。
~拡大造林

しかし、木材の輸入の自由化をきっかけに、安価の木材がどんどん輸入されるようになります。
日本による世界の熱帯雨林の破壊の始まりです。

国内の木材の価格はどんどん下降し、現在は1/20程度にまで落ち込んでいるそうです。
林業が経済的に成立困難になり、スギとヒノキの人工林は、どんどん放置されるようになります。

人工林は、野菜などの畑と同じように、継続的なさまざまな手入れが必要であるにも関わらず。

植林は、その植物の特性やその土地の適性などを無視した形で行われたこともあり、山はどんどん弱っていきます。

スギの葉や枝は、地面に落ちても土を肥やすことが出来ず、循環は困難になります。なので、スギの根の周辺は“砂”に近いそうです。
密集する木々は、太れないまま高さだけを伸ばし、樹冠に遮られ、林床には光が届かなくなります。
他の生命体が生きていけないため、さらに、その地面は循環を止められます。
森で暮らす生き物たちは、棲みかを奪われます。
さまよった末、人が居るエリアに出てしまうと、多くが殺されます。

近年、各地で起こる土砂災害。
分かる人には、ニュース映像や写真を見ただけで、「放置人工林の針葉樹が滑ったから起こった災害だ」と判断がつくそうです。

でももし、土砂災害がその人工林の放置が原因だ…と正式に認めてしまえば、山主さんの責任は莫大なものとなります。国の責任はさらに。

なので報道では、「異常気象が原因」などと発表することが出来る学者?が前に出ます。
なので、それを知らない山主さんも多く、手を打つこともなされません。

人工林のやり方や進め方や対処方法が間違いであったことが拡がれば、災害予防のために経済とマンパワーが注がれていれば、失われなくても済んだ命があるはずです。

自分の管理責任のある人工林の放置することが土砂災害に繋がると知って、さらに知らん顔をする地権者など、居ないでしょうに。

きらめ樹と別の角度で、この放置人工林の問題に対してなされている活動に触れ、自分の視野を広げる目的で、このツアーに参加しました。 

でもこういう話を改めて別の角度から聞いたことで、地球や未来や命ではなく、一部の人間の保身や経済が軸となっている傾向に対して、深いため息がまた出るようになりました。

そして私個人もまた、経済的なことを理由にして“きらめ樹”の活動に専念出来ないでいることも再認識し、夜になっても氣持ちがとても重いです。

このメンタルは何の糧にもならないので、早急に立て直さねば…

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